A.ご提案・ご回答
●提案内容等
名古屋城のバリアフリー化と忠実な木造再建について提案します。
今のエレベーター付き観光名古屋城は、移転補修して残します。更地になった場所に、これまでとは別の歴史に忠実な木造のシン·名古屋城を新築します。これであればどちらもよろしいのでは?と思いますがいかがでしょうか。
●回答
名古屋城木造天守における復元の目的及びバリアフリー等の付加設備の考え方について回答させていただきます。
名古屋城は、文化財保護法に基づく特別史跡に指定されており、当該史跡内で復元工事等を行うには、同法に基づく文化庁の許可が必要であり、当該許可を得るためには、文化庁の有識者会議において、文化庁が定める復元の基準に照らし、復元計画の内容が特別史跡における歴史的建造物の再現行為として適切であると確認されることが必要となります。
この文化庁の復元の基準では、忠実性を軸に技術的な基準が定められている一方で、「当該史跡等の理解・活用にとって適切かつ積極的意味を持つと考えられること」や「防災上の安全性を確保すること」等が記載されており、往時の姿に正確に復元するだけでなく、史跡等の本質的価値の理解促進のため、その価値を広く知ってもらうための活用を図ることが重要であり、そのために必要な機能や設備を付加することが前提として示されております。
そのため、名古屋城天守閣整備事業では、国の基準を踏まえ、特別史跡としての理解を促進することを復元の目的として掲げ、その活用として、天守内部に入り、世界最大級の高層木造建築としての巨大な柱や梁が組み合わされた軸組の様子や、狭間や石落しなどの防衛機能を備えた天守の特徴を観覧するなど、木造ならではの歴史的空間を実体験いただくことが必要不可欠と考えており、多くの方に観覧いただく上で必要なバリアフリー設備のほか、安全性確保のための防災・避難設備を付加する計画としております。
ただし、事業目的を達成する上では、復元する木造天守の規模・構造等について、高い蓋然性を確保することが重要であることから、付加設備の設置については、文化財保護の基本的な考え方である「可逆性」を踏まえ、将来、付加設備を撤去すれば本来の姿に戻すことが比較的容易なこと(少なくとも木造軸組建築の重要な要素である柱・梁等の主架構を取り除かない)を前提とし、木造天守の外観・内部空間の再現を阻害することのないよう付加設備の形態、意匠、設置場所等について十分な配慮・工夫を行うことが必要と考えております。
このような考えのもと、名古屋城木造天守におけるバリアフリーについては、令和4年度に「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」を実施し、柱・梁等の主架構を取り除くことなく設置でき、垂直移動が可能な昇降技術を選定したところであり、今後、当該昇降技術の設置範囲などの具体案を検討してまいります。
本事業については、当初のスケジュールより遅れが生じ、市民の皆様のご期待に沿えずご迷惑をおかけしておりますが、多くの方に木造ならではの歴史的空間を実体験いただけるような復元に取り組んでまいりますので、ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。
回答課:観光文化交流局名古屋城総合事務所(電話番号:052-231-1700)